FDM 3Dプリンターを買うとき、
「本体とフィラメント以外に何が必要なんだろう?」
と気になる人も多いと思います。
ニッパー、スクレーパー、ノギス、IPA、ヤスリ……と調べていくと、必要そうなものがどんどん出てきます。
ただ、これまで複数のFDM 3Dプリンターを使ってきた経験から言うと、最初から3Dプリンター専用品や高価な工具を全部揃える必要はありません。
プリンターに付属している工具で十分使えることもありますし、100円ショップやAmazonなどで購入できる安価な工具でも問題なく使えるものはたくさんあります。
一方で、ニッパーやペンチ、スクレーパー、フィラメント保管用品など、最初から持っておいた方が困りにくいものもあります。
この記事では、実際にFDM 3Dプリンターを使ってきた経験をもとに、
- 最初から揃えたいもの
- モデリングするなら揃えたいもの
- あると便利なもの
- 最初は買わなくてもいいもの
に分けて紹介します。
先に結論|最初から全部揃える必要はない
FDM 3Dプリンターを始めるために、最初から高価な工具セットを購入する必要はありません。
自分なら、まず次のものを揃えます。
| 優先度 | 道具 | 主な用途 |
|---|---|---|
| ★★★ | 薄刃ニッパー | フィラメント・サポートのカット |
| ★★★ | ペンチ・ラジオペンチ | サポート材の除去 |
| ★★★ | スクレーパー | 造形物・ラフトを剥がす |
| ★★★ | スティックのり | プラットフォームへの定着 |
| ★★★ | フィラメント保管用品 | フィラメントの吸湿対策 |
| ★★★ | カッターマット | 造形後の作業スペース |
| ★★☆ | 金属ブラシ | ノズルの清掃 |
| ★★☆ | ノズル清掃ニードル | ノズル詰まりの対処 |
| ★☆☆ | 紙ヤスリ・棒ヤスリ | バリ・サポート跡の仕上げ |
| 別枠 | ノギス・スケール | モデリング・寸法確認 |
基本的な工具については、5,000円程度を追加予算として考えておけば十分だと思います。
ただし、ニッパーやスクレーパーなどが最初から付属している3Dプリンターもあります。
まずはプリンターの付属品を確認し、足りないものだけ購入するのがおすすめです。
最初から揃えたいFDM 3Dプリンター用工具
薄刃ニッパー
FDM 3Dプリンターを使うなら、ニッパーはかなり使用頻度の高い工具です。
主に、
- フィラメントの先端を切る
- サポート材を切る
- バリを取る
といった場面で使います。
特にフィラメント交換時には先端を切り直すことが多いため、1本持っておきたい工具です。
できれば薄刃の模型用がおすすめ
高価なニッパーである必要はありません。
自分もCreality Sermoon V1 Proに付属していた模型用ニッパーや、Amazonで購入した安価なものを使ってきました。
ただ、これから購入するのであれば、刃先が薄い模型用ニッパーがおすすめです。
サポート材を除去するときなど、入り組んだ場所にも刃を入れやすくなります。
普通のニッパーでも作業はできますが、細かな場所では薄刃の方が使いやすいです。
ペンチ・ラジオペンチ
ペンチとラジオペンチは、主にサポート材を除去するときに使っています。
個人的には、高価なものでなくてもいいので両方持っておくのがおすすめです。
ラジオペンチ
ラジオペンチは先端が細いため、入り組んだ場所にあるサポート材を掴むときに便利です。
ニッパーでは刃が入りにくい場所でも、ラジオペンチなら掴んで取り外せることがあります。
普通のペンチ
普通のペンチはラジオペンチよりも力をかけやすいのがメリットです。
大きめのサポート材などをしっかり掴んで取り外したいときは、普通のペンチの方が使いやすいことがあります。
自分はニッパーと同じくAmazonで購入した安価なものを使っていますが、FDM 3Dプリンターのサポート除去用途であれば十分使えています。
スクレーパー
スクレーパーは、完成した造形物やラフトをプラットフォームから剥がすために使います。
3Dプリンターによってはスクレーパーが付属しているため、まずは付属品を使えば十分です。
自分もこれまで、
- 3Dプリンター付属のスクレーパー
- 100円ショップの樹脂製スクレーパー
- 金属製スクレーパー
などを使ってきました。
基本的には付属品や樹脂製で十分
取り外し可能なビルドプレートであれば、強力なスクレーパーが必要になる場面はそれほど多くありません。
そのため、最初は付属品や安価な樹脂製スクレーパーで十分だと思います。
一方、以前使っていたZortrax M300のように、プラットフォームを取り外せず、造形物がかなり剥がしにくいプリンターでは金属製スクレーパーを使うこともありました。
かなり頑固な場合には、金属製スクレーパーを当ててハンマーを使った経験もあります。
ただし、これはプラットフォームや造形物を傷つける可能性があるため、一般的な方法としておすすめするものではありません。
まずは付属スクレーパーや樹脂製を使い、不満が出てから金属製を検討すれば十分です。
スティックのり|PIT シワなしGを使用
プラットフォームへの定着を安定させるために、スティックのりもよく使っています。
自分が使っているのは、
トンボ鉛筆「PIT シワなしG」
です。
最近は材料を問わず、基本的にスティックのりを使ってから造形することが多いです。
のりの掃除は水とキッチンペーパーで十分
スティックのりを使っていると、定期的にプラットフォームを掃除する必要があります。
自分は、
- キッチンペーパーを水で濡らす
- プラットフォームの上に載せる
- 30分ほど放置する
- そのままキッチンペーパーで拭き取る
という方法で掃除しています。
水でのりをふやかしておくと、かなり簡単にきれいになります。
普段のスティックのりの清掃が目的なら、IPAやキムワイプまで最初から用意する必要はないと思います。
フィラメント保管用品
個人的には、フィラメントの保管用品も最初から用意しておくことをおすすめします。
材料によって吸湿の影響は異なりますが、フィラメントが湿気を吸うと、
- 糸引き
- 表面の荒れ
- 外観不良
などにつながります。
自分は強度を重視してPETGを使うことが多かったのですが、湿気たフィラメントで糸引きや外観不良が多発し、かなり苦労した経験があります。
そのため、フィラメントを買った段階から保管方法を考えておくのがおすすめです。
大量保管には圧縮袋
自分の場合、大量のフィラメントを保管するときは、まとめて圧縮袋に入れて保管しています。
比較的安く、多くのフィラメントをまとめて管理できるのがメリットです。
水溶性フィラメントなら乾燥対策は特に重要
研究室時代には水溶性フィラメントも使用していました。
吸湿の影響を受けやすいため、そのときはフィラメントドライヤーも使用していました。
フィラメントドライヤーまで全員が最初から購入する必要はありません。
ただし、水溶性フィラメントなど吸湿に弱い材料を使うのであれば、乾燥環境まで用意しておきたいところです。
フィラメントの詳しい保管方法や、ドライボックスとフィラメントドライヤーの違いについては別の記事で詳しく紹介しています。

カッターマット
造形後の作業をするために、カッターマットも1枚あると便利です。
例えば、
- ニッパーでサポート材を切る
- ペンチでサポートを外す
- バリを処理する
- ヤスリがけをする
- パーツを組み立てる
といった作業を机の上で直接行うと、机を傷つけたり、細かな樹脂片で汚したりすることがあります。
カッターマットが1枚あれば、そこを3Dプリンターの作業スペースとして使えます。
3Dプリンター専用品である必要はありません。
一般的なカッターマットで十分です。
作業スペースに余裕があるなら、造形物や工具をまとめて置ける少し大きめのものを選ぶと使いやすいと思います。
自分でモデリングするなら揃えたいもの
ここから紹介するものは、配布されている3Dデータを印刷するだけなら必須ではありません。
一方、自分で3Dデータを作りたいならかなり使用頻度が高い工具です。
ノギス
自分でモデリングするなら、ノギスはほぼ必須だと思っています。
例えば、
- 実物の寸法を測る
- 穴径を測る
- 板厚を測る
- 造形後の寸法を確認する
- 修正量を確認する
といった場面で使います。
配布サイトからダウンロードしたデータを印刷するだけであれば、最初はなくても問題ありません。
ただ、身の回りのものを測って自分で部品を設計するようになると、一気に使用頻度が上がります。
ノギスは価格で使いやすさが変わる
自宅では、モノタロウで購入した比較的安価な電子ノギスを使っています。
安価なものでも、寸法を測るという用途自体は十分こなせます。
ただ、普段Mitutoyoのノギスを使っていると、操作感にはかなり差を感じます。
特に感じるのが、修道部の滑らかさです。
Mitutoyoのノギスは、滑りやすさや使いやすさの次元がかなり違うと感じます。
そのため、自宅用についても今後Mitutoyoかシンワ測定のノギスへ買い替えたいと考えています。
最初は安価な電子ノギスでも十分。
ただし、モデリングを頻繁にするのであれば、ノギスにはある程度お金をかけてもいいと思います。
150mmスケール
ノギスと合わせてよく使うのが、150mmのスケールです。
自分は長年、シンワ測定の150mmスケールを使っています。
細かな寸法を正確に測るときはノギスを使いますが、0.5mm単位程度で手早く寸法を取るときにはスケールが便利です。
個人的には300mmまで必要になる場面はそれほど多くなく、150mm程度が取り回しもよく使いやすいと思っています。
モデリングでは、
ざっくり測る → スケール
正確に測る → ノギス
という使い分けをしています。
あると便利なメンテナンス用品
金属ブラシ
金属ブラシは、ノズルの外側に樹脂が付着したときの掃除に使います。
毎回使うものではありません。
ノズルに樹脂が付いて気になったときだけ使っています。
自分はAmazonで購入した、真鍮ブラシやステンレスブラシなどがセットになった安価なものを使ってきました。
これから購入するのであれば、ノズル清掃用に小型の真鍮ブラシを1本用意しておけば十分だと思います。
なお、金属ブラシを使用するときは、ホットエンド周辺の配線に触れないよう注意してください。
ノズル清掃ニードル
ノズルの詰まりを解消するときに使う細いニードルも、1セットあると便利です。
ただし、使用頻度は人によってかなり違うと思います。
同じ種類のフィラメントを使い続けていたときは、自分もほとんど使っていませんでした。
一方、研究室時代にさまざまな素材へ頻繁に交換していた頃は、ノズルが詰まることも多く、清掃ニードルをよく使っていました。
いろいろな材料を試したい人なら、安価なものを1セット持っておくと安心です。
逆に、PLAなど同じ材料を中心に使うのであれば、優先度はそれほど高くありません。
紙ヤスリ・棒ヤスリ
サポート材を外した跡やバリをきれいにしたいときには、紙ヤスリや棒ヤスリが便利です。
ただ、個人的には使用頻度はそれほど高くありません。
よほど外観をきれいに仕上げたい造形物でなければ、ニッパーで取れる範囲を処理して終わらせることが多いです。
そのため、初心者が最初から買う必要はないと思います。
表面をきれいに仕上げたい場合や、塗装前の下処理までしたい場合など、必要になってから買えば十分です。
最初は買わなくてもいいもの
3Dプリンター用の工具を調べていると、さまざまなものがおすすめされています。
ただ、実際に使ってきた中では、次のものは最初から揃えなくてもいいと思っています。
IPA・キムワイプ
最初から専用の清掃用品として揃える必要はないと思います。
特にスティックのりの清掃が目的であれば、自分の場合は水とキッチンペーパーで十分です。
必要性を感じた段階で購入すればOKです。
ピンセット
FDM 3Dプリンターでは、自分はほとんど使った記憶がありません。
ピンセットをよく使ったのは、むしろ光造形3Dプリンターを扱っていたときです。
そのため、FDM用としてはかなり優先度低めです。
六角レンチ・ドライバー類
最初から工具セットを購入する必要はありません。
プリンターの組み立てやメンテナンスに必要な基本工具が付属している機種もあります。
まずは購入した3Dプリンターの付属品を確認してください。
足りない工具が出てきてから買い足せば十分です。
予備ノズル
ノズルは消耗品ですが、3Dプリンター購入と同時に予備まで揃える必要はないと思います。
必要になったときに、使用しているプリンターに対応したノズルを購入すれば問題ありません。
ただし、ノズル清掃用のニードルは安価なので、いろいろな材料を使うのであれば持っておいてもいいと思います。
接着剤
複数の造形パーツを組み合わせるようになると、接着剤が必要になることがあります。
ただ、最初から用意する必要はありません。
作りたいものに必要になった段階で購入すれば十分です。
まずは3Dプリンターの付属工具を確認しよう
今回紹介した工具の中には、3Dプリンター本体に最初から付属しているものもあります。
実際、自分が使ってきたプリンターでも、ニッパーやスクレーパーなどが付属していました。
そのため、
「3Dプリンターを買ったら、とりあえず工具を全部買う」
のではなく、
「まず付属品を確認して、足りないものだけ買う」
のがおすすめです。
付属工具で十分使えるのであれば、そのまま使えばOK。
使いにくい、壊れた、もっと作業しやすくしたい。
そう感じてから良い工具へ買い替えても遅くありません。
まとめ|必要なものだけ少しずつ揃えればOK
FDM 3Dプリンターを始めるからといって、最初から専用工具を大量に揃える必要はありません。
まず用意したいのは、
- 薄刃ニッパー
- ペンチ
- ラジオペンチ
- スクレーパー
- スティックのり
- フィラメント保管用品
- カッターマット
あたりです。
付属品も活用すれば、基本的な工具は5,000円前後の予算でも十分揃えられると思います。
さらに、自分でモデリングまでしたい人は、
- ノギス
- 150mmスケール
を追加するのがおすすめです。
逆にIPAやキムワイプ、予備ノズル、接着剤などは、必要になってから購入すれば十分です。
3Dプリンターを始めると「あれも必要そう、これも必要そう」と工具を揃えたくなります。
ただ、実際に使ってみないと必要かどうか分からないものも多くあります。
最初から全部揃えるのではなく、本当に必要なものだけ用意して、不満が出たところから少しずつ買い足していく。
これくらいの始め方で十分です。
今回はFDM方式の3Dプリンターで必要な道具について、経験をもとに紹介しました。
この記事が、みなさんの良き3Dプリンターライフの助けになれば嬉しいです。
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